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2010年4月 1日 (木)

役不足

 10年程前になるが私の母校順天堂大学の学部長より、新入生ガイダンスの中での講演依頼を受けた時の話しである。
 学部長は、私が学生の頃の教授で、本当にお世話になった先生であった。私自身が教師・寿司屋・ホテルそして教師という人生を送っていることはもちろん良く知っていた。だからこそ、講演依頼だったのだ。教師を目指し順天堂に入学し、その目標が達成できなくてもたくましく生きていけることを話してくれということだった。

 その最初の電話での恥ずかしい話しである。
 学部長本人からの依頼であったので、嬉しくもあり、光栄にも思った。ただ、即答で「はい、分かりました。」では何か格好がつかないと考え、自分ではやや謙虚になったつもりで、「私では役不足では?」言ってしまった。すると学部長は、「お前は、この役では物足りないというのか?」と私が間違っていることを知りながら、そして笑いながらそう言ってきた。その後のご指導は、学生時代に戻った気持ちで「役不足」の本当の意味を教えていただいた。
 「大スターにちょい役をお願いできるか?」「お前に大役を持ってきてもまだ役不足。」とお前は言ったのだぞ。ということらしい。講演前にいい勉強になったことを今でも良く憶えている。

 ちなみにその時のもう一人の講演者はマラソンの有森選手で、内緒だが彼女の講演料は○○万円。私は、当然卒業生である以上、交通費のみであった。でも満足だった。

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